かわやの

かわやの

趣味でノベルゲームつくってた人の日常

 

第1回おもしろセリフ回し大会

はいでぃほー。



アニキこと伏田さんの企画への参加作です。

気付けばもう長い間動かしてないあの子たちを使ってみよう。と思い付きました。
トビウオにおける雅エンドのアフターストーリーに当たるので、未プレイの方はゲームを遊んでから読んでくれるとすげー嬉しいです!

とは言っても、この企画の趣旨に沿って書いてるので8割ぐらい会話文です。
楽!!笑

なお、作者は海の家の仕事内容を1ミリも存じ上げておりませぬ。


テーマ「夏」

セリフの志向性「個性的」

タイトル「海の家」


続きからどうぞ!!
 
 

交差する僕ら

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前日カーニバル

 Sensitive……それは、敏感なこと。敏感とは、神経が尖っていること。神経質と同義かは、わからない。
 でも、人の機微に気付けるということだ。
 彼のそんなところは、とても優れていることだと思う。この感情はおくびにも出さないけれど。彼には気取られていないだろうか。

「そういえば、おくびの語源ってとても下品なのね」

 私は隣の彼に向けるともなく、そんな言葉を零した。
 屋上で、風に吹かれて髪とスカートの裾を揺らす私の隣にいる彼。高校生のくせに一丁前にソフトモヒカンなんかつくっている。以前、このせいで頭皮が気になると言っていたのを思い出す。ならやめればいいのに。

「藪から棒になんすか、先輩。また活字だらけのサイトで仕入れた小ネタですか?」

 彼――弘前健二は、うんざりしたような顔で私を見上げた。彼が見上げる格好になっているのは、彼だけが座っているからだ。
 一方の私は屋上の手摺りにもたれている。弘前の言う通り、スマホでネットを見てはいるけれど、仕入れた知識を早速ひけらかしている訳ではない。断じて。

「あなたはスマホで遊ばないの?」
「スマホで満足できる性質なら、先輩と一緒に過ごしたりしませんよ」
「そうね。でも正しくは、文字を読みたくないだけ。違う?」
「誰かさんみたいに、活字は趣味じゃないんで」
「じゃあ、別の遊びをしましょう。あなた男の子なんだから、外で遊ぶものくらい持ってるでしょ。フリスビーなんてどうかしら」
「なんでフリスビーなんすか。まぁ、家にならありますけど」
「なら話が早いわ。明日、ね。いいでしょ、私もやるから」

 私はスマホの画面から目を離すと、弘前を見下ろして満面の笑み(自分ではそう思っている)を浮かべた。
 彼は上目遣いのまましばらく固まっていたが、やがて盛大な溜め息を吐き出した。

「……わかりましたよ、持ってくりゃいいんでしょ」
「聞き分けのいい後輩は好きよ」

 私が褒めると、また一つ溜め息。まったく、何が気に入らないというのか。
 空を見上げれば、雲一つない抜けるような青色が広がっている。少しでも気を抜けば吸い込まれて、どこまでも落ちていきそうになる。

「依頼、入ったわ」

 今度は決して独り言なんかじゃなく、明確に伝えようという意識を込めて、ソフトモヒカンのてっぺんを見つめた。

「そっすか」
「多分、今頃は契約上のルールやらその他決まり事も相手に伝わってる筈。明日は寝過ぎに注意して」

 私がそう言うと、弘前はそこで不敵な笑みを浮かべた。そういえば、今日、彼の笑顔を見るのは初めてな気がする。

「俺を誰だと思ってんすか。いつどんなところでも寝られるのが俺だって、先輩ならよく知ってんでしょ」
「のび太くんみたいね」
「やめて下さい」

 他愛のない会話による応酬。それだけでも時間は過ぎていく。
 弘前と過ごす穏やかな時間は、なるほど悪くないなと私は思っている。Sensitiveな彼になら、この好意的な感情は読み取れるだろうか。
 ――それはないでしょうね。夢でも盗み見られない限り。
 さて、明日は少しだけ疲れることになりそうだ。
 どうか強い風が吹かないようにと祈って、私は明日のフリスビーに備えることにした。


---

後日のお話はこちらで読めます。


伏田のアニキ、すんません。
勝手に前日談を書いてしまいやした。

問題ありましたら遠慮なくお申し付け下さい。
これを書いてる時、私はとても有意義な時間を過ごせたように思います。


あでゅー。
 
 

ライターと探偵

一昨日は大変申し訳ありませんでした。

今、疲れが溜まってる状態でして、ゲームのシナリオも行き詰ってて、
ついネガティブな記事を書いてしまいました。
そして消しました。

しかもそれを2回繰り返しました。

こんな見苦しい姿を見てしまった方。
どうか見逃して貰えると幸いです。



息抜きとリハビリを兼ねて、久々の小説モドキです。

---

 布団を蹴り飛ばすと、わたしはむっくりと重い体を起こした。
 ああ、だるい。おまけに体中が汗のベールに覆われているみたいだ。
 がしがしと頭を掻く。その指を嗅いでみた。……流石に少し、臭いかもしれない。
 床に足を付けて立ち上がり、ふらふらとした足取りで浴室へと向かった。最後に風呂に入ったのは、三日前だった。

   *

 シャワーを浴びたままの姿でリビングに戻ると、ソファに彼が腰かけていた。
 わたしの姿を認めるなり、煙草に火を付けながら、垂れ気味の目元にしわを寄せた。

「よお」

 何が「よお」なんだか。
 わたしはタオルで髪を拭きながら、表情を変えることなく彼のくたびれた笑顔を見据えた。

「……わたし、すっぽんぽんなんだけど」
「見りゃわかる」
「ここ、禁煙なんだけど」
「これ吸ったらもう吸わねえよ」
「じゃあ、換気扇の下行って」
「窓開けりゃいいだろ」
「虫入るから」

 彼は「やれやれ」と口に出すと、キッチンへ向かった。人んちで何してんだ、こいつ。

「ちゃんとメシ食ってんのか?」

 換気扇のスイッチを押してからそんなことを言ってくる。わたしが答える前に、彼は踏んで開くタイプのゴミ箱の蓋を開けていた。

「……なんだ、こりゃ」

 その彼が素っ頓狂な声を上げる。無理からぬことではあった。中身は半透明のどろどろで一杯になっているのだから。

「スライムだけど。ご存知ない?」
「イイ歳してスライム遊びなんかしてるのか?」
「仕事で使ったから」
「相変わらず変な仕事、続けてんのな」
「あんたに言われたくない」

 わたしは普段、在宅で変な記事を書くライターの仕事をしている。
 先日は「スライム風呂で酒盛りしてみた」という写真付きの記事を書いて、そのせいで見事に風邪をひいた。ついでにお腹も壊して、三日三晩ほぼ寝たきりの生活を送っていたという訳だ。

「それより早く服を着ろ。誘ってんのか?」
「生憎そういう気分じゃないから、着る」

 キッチンの彼に背を向ける。それからリビングに移動して、洗濯済みの山の中から一着拾い上げる。ウサギちゃんがプリントされたダサいワンピースだ。
 首にかけていたタオルを取った時、改めて「髪、伸びたなぁ」と思った。背中にべちゃっと張り付く感触が気持ち悪い。
 ワンピースを着て、同じように山から拾い上げたパンツを履いて、彼の側に戻った。

「で、ちょうど病み上がりのタイミングでうちに来たのはなんで? 盗聴か隠し撮りでもしてるんじゃないでしょうね。そんなことしたら、頭かち割って脳みそジュースにして食ってやるんだから」
「ジュースなのに食うのかよ。ていうか、昨日電話した時には大分回復したって言ってたろ。それに心配しなくても、そんなことはしないよ、俺はお前を信用してるから」
「舐めてる、の間違いでしょ」
「そうとも言う。とにかく盗聴も隠し撮りもしてないのは本当だ。それより、この写真の奴に見覚えはないか?」

 彼は黒いジャケットのポケットから取り出した写真を見せてきた。
 ポラロイドで撮影されたその写真には、若い女が一人、映っている。まあまあ綺麗な方だとは思うけれど、笑みのない不愛想な顔をしていた。

「知らない。誰、この女」

 彼に写真を突き返す。
 浮気相手か? でもそれなら恋人であるわたしに見せることはないと思い至って、その線は消した。十中八九、仕事絡みだろう。

「この女性の妹って人が、俺に捜索を依頼してきたんだ。GPSはY県を最後に途絶えてるらしい」

 この人は俗に言う、探偵稼業でご飯を食べている。と言ってもほとんど儲からないらしく、デートの時にファミレスとファストフード以外で食べさせて貰った覚えはなかった。
 まあ、これに関しては、彼以上に儲からない仕事をしているわたしに文句を言う権利はない訳だけれど……。

「Y県って……また随分と遠い」
「ああ、だからお前に協力して欲しいと思ってな」

 ようやく煙草を吸い終えた彼は、持っていた携帯灰皿で火を消すと、縋るような目を向けてきた。
 わたしは、ギラつくような彼のこの目に弱い。

「それは構わないけど……何? Y県と近隣の監視カメラの映像でも洗えばいいの?」

 わたしは何もライターだけを生業としている訳じゃなかった。裏稼業……とでもいうのか。副業として、ハッキングを行っている。
 こんな風に彼から頼られるのは、もう何度目になるかわからない。言ってしまえば慣れたものだと思っていた。
 けれど、今回は様子が違った。

「それももちろん頼みたいが、俺と一緒に来て欲しいんだ」
「はぁ? なんで?」
「このヤマが一筋縄じゃいかなそうってのが一番の理由だが、その、なんだ、普段どこにも連れてってやれてないのを申し訳なく思ってるというか」

 歯切れの悪い返事だったが、わたしには彼が何を言おうとしているのかわかった。わかってしまった。

「仕事と旅行を混同する訳? ちょっと何言ってるのかわからない」

 わかったからこそ、わからなかった。
 思わず芸人みたいな返しをしてしまったが、彼は引かなかった。

「どのみち通話でやり取りしてたんじゃ、時間がかかるだろう。だからほら、来てくれ」

 ぐいっと腕を引かれ、そのまま玄関まで引っ張っていかれる。
 でも、なんだろう。気分が高揚しているのも確かだった。
 遠出ができる――それだけで子供みたいにテンションが上がってしまうのだ。病み上がりだけど。
 気合の入っていない抵抗は意味を成さず、気付けばわたしは彼の運転するエスクードの助手席に座っていた。
 わたしの持ち物はノートパソコンと、化粧道具の入った鞄ぐらいのもの。準備をする暇なんて与えてはくれなかった。
 仕方がないので、この報酬で美味しいものをご馳走することを彼に約束させることで妥協した。


 仕事を兼ねたこの旅行は、果たして楽しめるだろうか。
 ふと期待の中に芽生えた一抹の不安は、やがて単なる不安では済まなくなっていた。


---

力尽きました。

続きません。
(多分)
 
 

あの時言い淀んだこと

こちらからお題とインスピレーションをいただきました。



 鼻毛が見えている。


 友達のかよこちゃんの顔を見た瞬間、私は固まってしまった。

 かよこちゃんは優しくて、明るくて、賢くて、とっても綺麗な女の子。
 肌は白くてすべすべだし、長い髪はサラサラ。
 クラスのみんなの憧れの彼女が、私に話しかけてきてくれたのだ!

 なのに、鼻毛が見えている。
 それも、サインペンの細字と太字の中間ぐらいのぶっといのが。

 えっ、あのかよこちゃんの可憐な鼻の穴から?
 嘘でしょ。

「おはよう、まなちゃん。色付きリップ付けてきたんだね、似合ってるよ!」

 ――あなたの毛付き鼻柱は似合ってないよ!

 そうは思うが、素敵な笑顔を目の前にしてそんなことは言えない。
 どうせなら今日じゃない日に話しかけてきて欲しかったというのに。
 なんで色付きリップを付けたのが今日なんだろう。
 私は今朝の私を恨んだ。
 どうせなら昨日か、恐らく気付いて処理を済ませただろう明日にしてくればよかったのに!

 せっかくの素敵な笑顔よりも、今は顔の真ん中の黒い線に意識が行ってしまう。

 いや、あれ。
 この鼻毛、なんか動いてない?

 よく見るとかよこちゃんの鼻から覗く異物ともいえる物体がふわふわと揺らめいてる。
 鼻毛とはいえかよこちゃんから生えているものだと思えば、風に吹かれる1輪の鼻、じゃなかった花を連想できないこともないけれど……。

 ん? ちょっと、これって。
 かよこちゃんの呼吸とぴったり動きが合ってない?

 彼女が息を吸っただろうタイミングで毛先が上に向かって、
 吐いただろうタイミングでぴんと伸びた状態で小刻みにぴろぴろぴろーっと揺れている。

 やめて。……やめて。
 流石に笑っちゃうから。
 もう美少女とかどうでもよくなっちゃうから!

 私が鼻毛と同じようにぷるぷるしながら笑いを堪えていると、どこからともなく美味しそうな匂いが漂ってきた。
 これは、からあげ?
 いや、違うな。これと同じ匂いをマクロッテリナルドで嗅いだ記憶が――

ー、ナゲットなんか朝っぱらから教室で食べないでよ」

 どこからか飛ばされた野次を聞いた瞬間、我慢の限界に達した。
 いきなり吹き出した私をかよこちゃんが覗き込んでくる。

「どうしたの、大丈夫?」

 不安げに寄せられた眉根。
 眉の形は整っていて、細いのに薄いという訳じゃない。
 利発そうな目元に、唇はふっくら桜色。
 その瞳と唇の間にあるのは、決して低くはないのに小振りな鼻と――飛び出す鼻毛。

 やめて、やめて……心配してくれるのは嬉しいけど、それは反則なんだって。
 だめ、だめ……。
 今、その、顔を、近付けないで!

「かよこからも男子に言ってやってよ! ……あれ、どうしたの?」

 今度こそ声を上げて笑い出しそうになった時、かよこちゃんの横からクラスメートが彼女を呼んだ。
 さっき、ナゲットを食べだした男子を注意していた女子だ。
 かよこちゃんの意識がそちらへ向く。
 あっ、だめっ、今振り向いたら被害者が――

「って、かよこ鼻毛出てるって!」

 かよこちゃんと顔を合わせた瞬間、あろうことかこのクソアマははっきり真実を述べやがった。
 目に見えてかよこちゃんが動揺しだす。

「えっ。うそっ」

 慌てた様子でそう言いながら、ポケットから折り畳み鏡を取り出している。
 私の中で、大事に大事に守っていた何かががらがらと崩れていく音が響いた。

 ああ、終わった。
 なんとか傷付けまいと頑張っていた努力の全てが、アホなクラスメートの一言でいとも容易く無駄になるなんて……。

 ところが。

「あぁー、これひじきだ!」

 かよこちゃんは笑っていた。
 ……は? ひじき?

「今朝食べてる最中、なんか鼻がむずむずするなーって思ってたんだよねぇ」

 かよこちゃんは、今度はティッシュを取り出すと鼻を拭った。

「ほら」

 すると、あら不思議。鼻毛はかよこちゃんの顔から綺麗さっぱり消え失せていたのだ!
 えっ、ほんとに? ほんとにひじきだったの?

「なぁんだ、ひじきかー」

 クラスメートも納得した様子だった。
 ……まじで?

 それどころか「教えてくれてありがとー」と、クラスメートがかよこちゃんから感謝されている。
 ま、まじか。こうなるとわかっていたら、私が指摘していたのに……!

 でも私は人知れず胸を撫で下ろしていた。

 ずっと揺れる鼻毛だと思っていたのが実はひじきだったなんて。
 早とちりって怖い。
 そうだよな、かよこちゃんは美少女なんだから。

 でもそこまで考えて、思い至ることがあった。
 あの鼻毛、じゃなかったひじきは――かよこちゃんの呼吸に合わせて揺れていた。

 手を振ってから去っていくかよこちゃんの後ろ姿を、驚愕に見開いた目で見送る。


 かよこちゃん、鼻息荒かったんだな。
 
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プロフィール

hanaco

Author:hanaco
滋賀在住。躁うつ気味。
趣味でノベルゲームつくってます!!作品はここについてにリンク張ってます。

何かを書き続けていたいです。

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