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かわやの

かわやの

書きたい時に書きたいことを書きたいだけ。ノベルゲーム置いてます。フリーの作詞家になることもあります。クソ記事非公開にしました。

 

第2回会話祭り

はいでぃほー。



アニキこと伏田さんの企画への参加作です!!

※作中の行為を絶対に真似しないで下さい


テーマ「殺人鬼」

セリフの志向性「泣ける」

タイトル「懺悔」


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「一人語りをしようと思う。聞いてくれると嬉しいけど、聞き流すならそれはそれで構わない。勝手に喋るから。
 わたしは人を、殺した。
 それも一人や二人じゃない。三人を。……二人も三人も変わらないとか言わないでよ。
 それで、まず一人目だけど、血が繋がった家族だった。うん。おばあちゃん。病気だったんだけど、もう治らないって言われた。生命維持装置に繋がれて、わたしはそれを側で見守ってた。
 優しいおばあちゃんだった。若い頃の写真を父さんに見せて貰ったことがあるけど、全然、美人じゃなかった。昔から優しいだけが取り柄の女の人だったんだと思う。でも、孫のわたしは彼女のことが大好きだった。
 眠ったままのおばあちゃんに一瞬、ほんの一瞬だけ、意識が戻る瞬間があった。大人たちが席を外してる時だった。おばあちゃんはもう喋れなかったけど、目でわたしに話しかけてきたんだ。"苦しい、もう死なせて"って。わたしたちの繋がりは濃かったから、言葉なんてなくても理解できた。
 わたしはおばあちゃんのことが大好きだったし、死んで欲しくなんかなかったけど、大好きだったから、これ以上、苦しんで欲しくもなかった。何より、おばあちゃん自身の頼みでもあったから……。
 生命維持装置を外されて上手く呼吸ができなくなったおばあちゃんは、苦しそうだった。でも、最期には安らかな顔をしてた。おばあちゃんが死んだのを確認してから、外してた装置を元に戻した。それから、慌てた振りをしてお医者さんを呼びに行った。わたしはまだ子供だったから、疑われることはなかった。これが、最初の殺人。
 次は恋人だった。ちゃんと付き合って、愛し合った人。でも……その恋人はわたしを裏切った。あろうことか、わたしの家族と関係を持った。家族からしても不倫だった。で、それがばれた。お陰でわたしの一家はめちゃくちゃに。
 恋人は、浮気相手がわたしの家族だってことは知らなかったらしい。実は、もし、知ってた上でそうしたんだったら、許してあげようと思ってた。だって、「わたし」っていう繋がりがあるからこそ興味を持ったのだとしたら、まだ、まだだけど、個人的には、まだ可愛げがあるって思えたから。でもそうではなかった。わたしの家族を壊すきっかけになった恋人の行いにはなんの理由もなく、意味もなく、思い付きの遊びだったんだとわかった瞬間、何もかもがどうでもよくなった。ただただ目の前の恋人が許せない。その気持ちだけがせり上がって止まらなくなった。
 気付けばわたしは振り上げた手を恋人の顔目がけて振り下ろしてた。グーだった。思えば人を殴ったのはあれが初めてだったと思う。ほとんど不意打ちだったから、恋人も咄嗟には反応できなかったみたい。わたしの拳をまともに受けて、半回転気味に崩れ落ちた。わたしは痛がる恋人を仰向けに転がして、馬乗りになって、追い討ちをかけた。怒りと悲しみで我を忘れてたとはいえ、この時には明確な殺意を持って、拳を打ち付けてた。繰り返し、繰り返し。興奮し切ったわたしの脳みそからは、アドレナリンだかドーパミンだかがばんばん出てたんだと思う。手の痛みに気付いた時には、わたしの手はボロボロになってた。ボロボロになるまで気付かなかった。それから、大好きだった筈の恋人の顔も……。
 わたしは怖くなって逃げた。脇目も振らず。何もかもを投げ出して。ぐちゃぐちゃになってしまった家族も恋人の顔も考えないようにして。
 そしてこの街にきた。わたしを知る人は誰もいない街に。
 この街に辿り着いたわたしがまず最初にしたことは、泣くことだった。ただひたすらに泣いた。悔しさと罪悪感に押し潰される前に、その全部を涙と声に変えて吐き出した。そうしている内に拾ってくれたのが、マスター、あなただよ。そう。あの時の手の怪我は、人を殺したことが原因だったんだ。
 あなたには感謝してもし切れない。何も聞かずに手当てをしてくれただけじゃなく、こんなわたしに住み家とメシの種まで与えてくれた。今だってこうして、美味しいお酒を提供してくれてる。あなたは以前、自分には過去があるって言ってたけど、わたしにとってはどうでもいいことだ。わたしにとって、あなたは聖人だよ。ほんとにありがとう。
 ここまで聞いてくれたのなら、残りも最後まで聞いてよ。
 あの、言いにくいんだけど……謝らせて欲しいことがある。マスター。わたしはあなたを裏切るような真似をしてしまった。あなたの友達を殺してしまった。そう、ずっと行方知れずになってる彼。わたしの仕業だったんだ。三人目の殺人はそれだよ。彼は今、街外れにある井戸の底で眠ってる。あの日も夜で、暗かったから。後ろから、どんって。疑わしいなら後で確認してみるといい。暗いから、くれぐれも気を付けて。ああ、もうちょっと待って。もうすぐ、終わるから。
 彼はね、マスターを侮辱したんだ。少なくともわたしにはそう聞こえるような発言をした。マスターなら許していたような内容だったかもしれない。でもわたしには到底、許せるものじゃなかった。実のところあの時点で、殺した人数が一つ増えようが今と大差ないとか考えてる自分がいたよ。二人も三人も変わらないって思ったのは、わたしの方だったみたいだね。
 発言の内容? 言わなきゃいけないかな……。マスターのことを、苦労知らずって言ってた。ねえ、二人は本当に友達同士だったわけ? 本当に友達なら、相手のことをわかり合ってるなら、そんな発言、出よう筈もないのに……。あの時の彼は、別に酔ってなかったと思う。マスターは許せるの? あんな、想像力の乏しい、思慮の浅い人のことを。……許せるんだ。どうして? どうして受け流せるの? ああ……やっぱりね。あなたは本当に、本当の聖人なんだね。……えっ? でもわたしは、マスターにとって、ひどいことを言われても許せてしまえるぐらいには仲の良い相手を殺した仇みたいなものなんだよ。……はは。ははは。ねえ、マスター。あなたは間違いなく優しい人だけど、なんでも許せばいいというものでもないと思うよ。ううん、嬉しいけどね。わたしの気持ち、ちゃんとわかって貰えてるんだって思えたから。だけど正直、マスターのそういうところは嫌いかな。
 マスターが許そうとも、許さなくとも、わたしは許さない。許せない。わたしが殺した彼も、わたし自身も。
 だから、わたしはこれから、四人目を殺そうと思う。誰を、って? それ、わかってて聞いてるよね。
 ――子供の頃、おばあちゃんを殺した。数年前に恋人を。少し前には、恩人であるマスターの友達を。
 三人分の命を背負って生きるには、わたしの命はあまりにも小さ過ぎる。押し潰されてしまいそう。こんな思いを抱えたまま生きるのは、あまりに辛い。もう……疲れた。
 今日の代金だけど、財布ごと渡しておこうと思う。死人には必要ないものだから。いつもいつも、世話になりっぱなしだったね。最期まで、本当にありがとう。
 じゃあね、マスター」

 本日最後の客が、寂れた一軒のバーから出て行く。
 置き去りにされた財布の中に、現金以外のものは何一つとして入っていなかった。


 了


---

一応、会話はしてるんだけど、1人分の発言しか書いてないせいでドッジボール状態になってしまったわ…



あでゅー。
 
 

前日カーニバル

 Sensitive……それは、敏感なこと。敏感とは、神経が尖っていること。神経質と同義かは、わからない。
 でも、人の機微に気付けるということだ。
 彼のそんなところは、とても優れていることだと思う。この感情はおくびにも出さないけれど。彼には気取られていないだろうか。

「そういえば、おくびの語源ってとても下品なのね」

 私は隣の彼に向けるともなく、そんな言葉を零した。
 屋上で、風に吹かれて髪とスカートの裾を揺らす私の隣にいる彼。高校生のくせに一丁前にソフトモヒカンなんかつくっている。以前、このせいで頭皮が気になると言っていたのを思い出す。ならやめればいいのに。

「藪から棒になんすか、先輩。また活字だらけのサイトで仕入れた小ネタですか?」

 彼――弘前健二は、うんざりしたような顔で私を見上げた。彼が見上げる格好になっているのは、彼だけが座っているからだ。
 一方の私は屋上の手摺りにもたれている。弘前の言う通り、スマホでネットを見てはいるけれど、仕入れた知識を早速ひけらかしている訳ではない。断じて。

「あなたはスマホで遊ばないの?」
「スマホで満足できる性質なら、先輩と一緒に過ごしたりしませんよ」
「そうね。でも正しくは、文字を読みたくないだけ。違う?」
「誰かさんみたいに、活字は趣味じゃないんで」
「じゃあ、別の遊びをしましょう。あなた男の子なんだから、外で遊ぶものくらい持ってるでしょ。フリスビーなんてどうかしら」
「なんでフリスビーなんすか。まぁ、家にならありますけど」
「なら話が早いわ。明日、ね。いいでしょ、私もやるから」

 私はスマホの画面から目を離すと、弘前を見下ろして満面の笑み(自分ではそう思っている)を浮かべた。
 彼は上目遣いのまましばらく固まっていたが、やがて盛大な溜め息を吐き出した。

「……わかりましたよ、持ってくりゃいいんでしょ」
「聞き分けのいい後輩は好きよ」

 私が褒めると、また一つ溜め息。まったく、何が気に入らないというのか。
 空を見上げれば、雲一つない抜けるような青色が広がっている。少しでも気を抜けば吸い込まれて、どこまでも落ちていきそうになる。

「依頼、入ったわ」

 今度は決して独り言なんかじゃなく、明確に伝えようという意識を込めて、ソフトモヒカンのてっぺんを見つめた。

「そっすか」
「多分、今頃は契約上のルールやらその他決まり事も相手に伝わってる筈。明日は寝過ぎに注意して」

 私がそう言うと、弘前はそこで不敵な笑みを浮かべた。そういえば、今日、彼の笑顔を見るのは初めてな気がする。

「俺を誰だと思ってんすか。いつどんなところでも寝られるのが俺だって、先輩ならよく知ってんでしょ」
「のび太くんみたいね」
「やめて下さい」

 他愛のない会話による応酬。それだけでも時間は過ぎていく。
 弘前と過ごす穏やかな時間は、なるほど悪くないなと私は思っている。Sensitiveな彼になら、この好意的な感情は読み取れるだろうか。
 ――それはないでしょうね。夢でも盗み見られない限り。
 さて、明日は少しだけ疲れることになりそうだ。
 どうか強い風が吹かないようにと祈って、私は明日のフリスビーに備えることにした。


---

後日のお話はこちらで読めます。


伏田のアニキ、すんません。
勝手に前日談を書いてしまいやした。

問題ありましたら遠慮なくお申し付け下さい。
これを書いてる時、私はとても有意義な時間を過ごせたように思います。


あでゅー。
 
 

あの時言い淀んだこと

こちらからお題とインスピレーションをいただきました。



 鼻毛が見えている。


 友達のかよこちゃんの顔を見た瞬間、私は固まってしまった。

 かよこちゃんは優しくて、明るくて、賢くて、とっても綺麗な女の子。
 肌は白くてすべすべだし、長い髪はサラサラ。
 クラスのみんなの憧れの彼女が、私に話しかけてきてくれたのだ!

 なのに、鼻毛が見えている。
 それも、サインペンの細字と太字の中間ぐらいのぶっといのが。

 えっ、あのかよこちゃんの可憐な鼻の穴から?
 嘘でしょ。

「おはよう、まなちゃん。色付きリップ付けてきたんだね、似合ってるよ!」

 ――あなたの毛付き鼻柱は似合ってないよ!

 そうは思うが、素敵な笑顔を目の前にしてそんなことは言えない。
 どうせなら今日じゃない日に話しかけてきて欲しかったというのに。
 なんで色付きリップを付けたのが今日なんだろう。
 私は今朝の私を恨んだ。
 どうせなら昨日か、恐らく気付いて処理を済ませただろう明日にしてくればよかったのに!

 せっかくの素敵な笑顔よりも、今は顔の真ん中の黒い線に意識が行ってしまう。

 いや、あれ。
 この鼻毛、なんか動いてない?

 よく見るとかよこちゃんの鼻から覗く異物ともいえる物体がふわふわと揺らめいてる。
 鼻毛とはいえかよこちゃんから生えているものだと思えば、風に吹かれる1輪の鼻、じゃなかった花を連想できないこともないけれど……。

 ん? ちょっと、これって。
 かよこちゃんの呼吸とぴったり動きが合ってない?

 彼女が息を吸っただろうタイミングで毛先が上に向かって、
 吐いただろうタイミングでぴんと伸びた状態で小刻みにぴろぴろぴろーっと揺れている。

 やめて。……やめて。
 流石に笑っちゃうから。
 もう美少女とかどうでもよくなっちゃうから!

 私が鼻毛と同じようにぷるぷるしながら笑いを堪えていると、どこからともなく美味しそうな匂いが漂ってきた。
 これは、からあげ?
 いや、違うな。これと同じ匂いをマクロッテリナルドで嗅いだ記憶が――

ー、ナゲットなんか朝っぱらから教室で食べないでよ」

 どこからか飛ばされた野次を聞いた瞬間、我慢の限界に達した。
 いきなり吹き出した私をかよこちゃんが覗き込んでくる。

「どうしたの、大丈夫?」

 不安げに寄せられた眉根。
 眉の形は整っていて、細いのに薄いという訳じゃない。
 利発そうな目元に、唇はふっくら桜色。
 その瞳と唇の間にあるのは、決して低くはないのに小振りな鼻と――飛び出す鼻毛。

 やめて、やめて……心配してくれるのは嬉しいけど、それは反則なんだって。
 だめ、だめ……。
 今、その、顔を、近付けないで!

「かよこからも男子に言ってやってよ! ……あれ、どうしたの?」

 今度こそ声を上げて笑い出しそうになった時、かよこちゃんの横からクラスメートが彼女を呼んだ。
 さっき、ナゲットを食べだした男子を注意していた女子だ。
 かよこちゃんの意識がそちらへ向く。
 あっ、だめっ、今振り向いたら被害者が――

「って、かよこ鼻毛出てるって!」

 かよこちゃんと顔を合わせた瞬間、あろうことかこのクソアマははっきり真実を述べやがった。
 目に見えてかよこちゃんが動揺しだす。

「えっ。うそっ」

 慌てた様子でそう言いながら、ポケットから折り畳み鏡を取り出している。
 私の中で、大事に大事に守っていた何かががらがらと崩れていく音が響いた。

 ああ、終わった。
 なんとか傷付けまいと頑張っていた努力の全てが、アホなクラスメートの一言でいとも容易く無駄になるなんて……。

 ところが。

「あぁー、これひじきだ!」

 かよこちゃんは笑っていた。
 ……は? ひじき?

「今朝食べてる最中、なんか鼻がむずむずするなーって思ってたんだよねぇ」

 かよこちゃんは、今度はティッシュを取り出すと鼻を拭った。

「ほら」

 すると、あら不思議。鼻毛はかよこちゃんの顔から綺麗さっぱり消え失せていたのだ!
 えっ、ほんとに? ほんとにひじきだったの?

「なぁんだ、ひじきかー」

 クラスメートも納得した様子だった。
 ……まじで?

 それどころか「教えてくれてありがとー」と、クラスメートがかよこちゃんから感謝されている。
 ま、まじか。こうなるとわかっていたら、私が指摘していたのに……!

 でも私は人知れず胸を撫で下ろしていた。

 ずっと揺れる鼻毛だと思っていたのが実はひじきだったなんて。
 早とちりって怖い。
 そうだよな、かよこちゃんは美少女なんだから。

 でもそこまで考えて、思い至ることがあった。
 あの鼻毛、じゃなかったひじきは――かよこちゃんの呼吸に合わせて揺れていた。

 手を振ってから去っていくかよこちゃんの後ろ姿を、驚愕に見開いた目で見送る。


 かよこちゃん、鼻息荒かったんだな。
 
 

救世主になる話

深夜テンションで書いた。勢いで上げます。
見直しはしたけどちゃんとはしてない。

後悔なんかしないもん。



 ――物語を書かないと世界が崩壊する!

 そんな恐ろしい文言が頭に浮かんだ私は、今、執筆に勤しむべくパソコンの前に座ったのだった。
 しかし重大な問題がある。
 私には物語を書いたことなどない!!

 妄想ならよくしている。
 今1番のフェイバリットは、私は実は王族の血を引く一族の末裔で、顔を合わせば喧嘩ばかりしていたクラスメートがこれまた実は前世で自分の恋人だったと知って以来、彼と一国を築くべく一念発起するという内容で――

 ああっ、今はそれどころではない!
 窓の外に目を向けると、庭に植えられた松の木が1本、急速な勢いで枯れ出していた。
 やはりふと降り立った感覚は単なる妄想ではなかったのだ。
 なんでもいい、何か書かなければ世界が崩壊する。地球の未来は私の手にかかっているのだ!

 私は「メモ帳」を立ち上げると、手当たり次第にキーボードを叩き始めた。
 モニタに文字が打ち込まれる。

「hzふぃhfsjfぃあh;hgじlgh」

 庭の木が粉塵の如く崩れ落ちた。

 ああっ、世界が……世界が崩壊する!

 落ち着け私。
 人生に1度あるかないかという状況にいきなり陥って混乱するのはしょうがないことだが、焦ったってどうにもならないぞ。
 文字を打てばいいという訳じゃないのだ。
 書くべきはっ、物語っ、なのであるっ。
 急げー。

"I am descendant of the royal family.
He is a classmate.
He was a past lover.
We intend to build a country."

 お隣さんの庭でボール遊びをしていた子供が一瞬でミイラと化した。

 えぇっ、これもだめなの?
 英語の教材みたいな英文のせいだろうか。
 そもそも私は英語が得意じゃないのだ。
 それとも日本語じゃないといけないのだろうか。
 そういえば私は日本人なのだった。もっと言うと母国語しかできない。
 くそっ、どうして最初からお国言葉を使わなかったのか……!

「せやかて工藤、言うたやろが。ワイのジッジのジッジのそのまたジッジは王様なんや! 前世で結ばれてたワイらは無敵や! せや、建国したろ」

 我が家の半径50メートル以内の家屋が全て吹き飛んだ。

 うーん。お国言葉はだめだな、やっぱ。標準語でないと。ていうかそもそもお国言葉ですらないし。
 ちなみにクラスメートの名前は工藤である。変な薬を飲まされて子供になった探偵のことではない。

 しかし困った、何を書いたって崩壊を止められる気が全くしない!
 私は昨日の晩ご飯の献立を大声で叫びながら頭を抱えた。

 ああっ、だめだ……私に物語を書くだなんて、無理な話だったのだ!
 世界よ、ごめん……私に君はマモレナカッタ……。
 窓の外に巨大竜巻が渦巻いているのを眺めながら、私は己の無力さを嘆くしかなかった。

 ……ん? 無理な「話」だった……?

 その時、私に電流走る。
 そうだ、今のこの状況こそ物語足り得ないだろうか!
 天啓を得た私は勢いよく頭を上げると、破竹の勢いでキーボードを叩き出した。
 ありのままを書くのだ……偽らざる事実。イッツマイストーリー!! レリゴー、レリゴー。

 家の壁ががたがたと悲鳴を上げる。
 竜巻がすぐそこまで迫っている。
 それでも私はキーボードを叩く手を止めない。
 私がこれを書くのを辞めたら、世界は――私という物語は、終わってしまうのだ――

 窓が割れる――直前。
 それまで自宅を揺らしていたのが嘘だったかのように、ふっと竜巻が立ち消えた。
 私が現状を描写し終えた瞬間だった。

 雲の切れ間から日が射し、その光と熱が部屋の中にまで注がれる。
 ぽかぽかと暖かい。
 いつの間にか、屋根には雀が戻ってきていた。ちゅんちゅんと可愛らしい鳴き声を上げている。

 世界に、平和が戻っていた。

 閉じていた窓を開ける。爽やかな風に髪を揺らされた。
 私は殺風景になった自宅周辺を眺めながら、ぽつんと独り言を零した。

「世界とは犠牲の上に成り立つものであり、また同時に世界とは自分自身でもあるのだ……」

 こうして世界は、私の手によって救われたのだった。
 
 

CrossingIf

「CP」のおまけSSを書いてみました。
本編NormalEnd後のお話です。

※本編未プレイの方には「何のこっちゃ」ってなるかもしれません

「続きを読む」からどうぞ。

公開終了しました。

 
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