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かわやの

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書きたい時に書きたいことを書きたいだけ。ノベルゲーム置いてます。フリーの作詞家になることもあります。

 

救世主になる話

深夜テンションで書いた。勢いで上げます。
見直しはしたけどちゃんとはしてない。

後悔なんかしないもん。



 ――物語を書かないと世界が崩壊する!

 そんな恐ろしい文言が頭に浮かんだ私は、今、執筆に勤しむべくパソコンの前に座ったのだった。
 しかし重大な問題がある。
 私には物語を書いたことなどない!!

 妄想ならよくしている。
 今1番のフェイバリットは、私は実は王族の血を引く一族の末裔で、顔を合わせば喧嘩ばかりしていたクラスメートがこれまた実は前世で自分の恋人だったと知って以来、彼と一国を築くべく一念発起するという内容で――

 ああっ、今はそれどころではない!
 窓の外に目を向けると、庭に植えられた松の木が1本、急速な勢いで枯れ出していた。
 やはりふと降り立った感覚は単なる妄想ではなかったのだ。
 なんでもいい、何か書かなければ世界が崩壊する。地球の未来は私の手にかかっているのだ!

 私は「メモ帳」を立ち上げると、手当たり次第にキーボードを叩き始めた。
 モニタに文字が打ち込まれる。

「hzふぃhfsjfぃあh;hgじlgh」

 庭の木が粉塵の如く崩れ落ちた。

 ああっ、世界が……世界が崩壊する!

 落ち着け私。
 人生に1度あるかないかという状況にいきなり陥って混乱するのはしょうがないことだが、焦ったってどうにもならないぞ。
 文字を打てばいいという訳じゃないのだ。
 書くべきはっ、物語っ、なのであるっ。
 急げー。

"I am descendant of the royal family.
He is a classmate.
He was a past lover.
We intend to build a country."

 お隣さんの庭でボール遊びをしていた子供が一瞬でミイラと化した。

 えぇっ、これもだめなの?
 英語の教材みたいな英文のせいだろうか。
 そもそも私は英語が得意じゃないのだ。
 それとも日本語じゃないといけないのだろうか。
 そういえば私は日本人なのだった。もっと言うと母国語しかできない。
 くそっ、どうして最初からお国言葉を使わなかったのか……!

「せやかて工藤、言うたやろが。ワイのジッジのジッジのそのまたジッジは王様なんや! 前世で結ばれてたワイらは無敵や! せや、建国したろ」

 我が家の半径50メートル以内の家屋が全て吹き飛んだ。

 うーん。お国言葉はだめだな、やっぱ。標準語でないと。ていうかそもそもお国言葉ですらないし。
 ちなみにクラスメートの名前は工藤である。変な薬を飲まされて子供になった探偵のことではない。

 しかし困った、何を書いたって崩壊を止められる気が全くしない!
 私は昨日の晩ご飯の献立を大声で叫びながら頭を抱えた。

 ああっ、だめだ……私に物語を書くだなんて、無理な話だったのだ!
 世界よ、ごめん……私に君はマモレナカッタ……。
 窓の外に巨大竜巻が渦巻いているのを眺めながら、私は己の無力さを嘆くしかなかった。

 ……ん? 無理な「話」だった……?

 その時、私に電流走る。
 そうだ、今のこの状況こそ物語足り得ないだろうか!
 天啓を得た私は勢いよく頭を上げると、破竹の勢いでキーボードを叩き出した。
 ありのままを書くのだ……偽らざる事実。イッツマイストーリー!! レリゴー、レリゴー。

 家の壁ががたがたと悲鳴を上げる。
 竜巻がすぐそこまで迫っている。
 それでも私はキーボードを叩く手を止めない。
 私がこれを書くのを辞めたら、世界は――私という物語は、終わってしまうのだ――

 窓が割れる――直前。
 それまで自宅を揺らしていたのが嘘だったかのように、ふっと竜巻が立ち消えた。
 私が現状を描写し終えた瞬間だった。

 雲の切れ間から日が射し、その光と熱が部屋の中にまで注がれる。
 ぽかぽかと暖かい。
 いつの間にか、屋根には雀が戻ってきていた。ちゅんちゅんと可愛らしい鳴き声を上げている。

 世界に、平和が戻っていた。

 閉じていた窓を開ける。爽やかな風に髪を揺らされた。
 私は殺風景になった自宅周辺を眺めながら、ぽつんと独り言を零した。

「世界とは犠牲の上に成り立つものであり、また同時に世界とは自分自身でもあるのだ……」

 こうして世界は、私の手によって救われたのだった。
 
 
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